カテゴリ: 文京第5団夜話集
掲載日:2008/11/05
 今日、君たちが歩いた森や湖には、たくさんの鳥や魚や小さな獣や昆虫達が毎日生活をしています。

私たちが住んでいる東京の町には、こんな素敵な森や湖はあまりありません。
今まで長い間、人間は自分たちの便利なように、生活が楽になるようにと、海を埋め立てて工場を作ったり、山を削って道を作ったり、丘の木をたくさん切って自分たちの住む家を作ったりしてきました。

 そこにいた鳥や小さな獣たちは、食べるものがなくなり、もっとほかの場所へ逃げ出してしまいました。死んでしまって仲間がいなくなった動物たちもいます。

これは私たち大人が長い間かかって間違った事をしてきたのかも知れません。
私たち大人が君たちに謝らなければならない、自分勝手な・恥ずかしい事だったかも知れません。
地球に住んでいるのは人間だけではなく、鳥や獣や植物もみんな仲良く一緒にいたいと思っているはずです。

 これからは君たちがこのすばらしい自然を守って行くために、自分には何ができるかを考えて、お家の人や友達とも話し合って、少しでも大切な自然を大人と一緒に取り戻してもらいたいと、隊長は思っています。

夏目 潔(元BVS隊長)

ボーイスカウト東京文京第5団

カテゴリ: 文京第5団夜話集
掲載日:2008/11/05
 スカウト同士が言い争っているところに出くわした。

 一人は涙をぽろぽろこぼしながら泣きじゃくっている。

「どうしたの?」泣いていないほうのスカウトに聞きただすと、彼ではなく泣きじゃくっているスカウトが、嗚咽の合間にとつとつと話し出した。

「A君が僕のお母さんのことを「でべそ」だといって聞かないんだ。僕のお母さんはでべそなんかじゃない」

 一瞬笑ってしまいそうになったが、彼にとっては自分のお母さんのことを、からかわれた、ということで一杯になっているのだろう。彼の目を見ながらその気持ちを考えると、なぜだか私まで涙ぐんでしまった。

 A君に「冗談にせよ、ひとのお母さんのことを、そんなふうに言うもんじゃない。もし君が同じ事を言われたらどんな気持がするか、よく考えてごらん」

 そう言いながらも涙が止まらなかった。A君はどうして私まで泣き出してしまったのか、不思議そうに見つめながらしばらくだまっていたが、そのうちコックリと頷いて、「ごめん、もう言わないよ」と言ってくれた。

 「もう二度と人のいやがることを言ってはいけないよ。分かったら握手して、皆のところに戻ろう」と言ったら、A君がさっと手を出して、相手の手をとって、しっかり握手したまま、二人で駆けていった。

 それは他から見ればほんの一瞬の出来事だったにちがいないが、二人の気持の葛藤を考えると、私はその場からしばらく動けずに、涙の流れるままに立ち尽くしていた。

夏目 潔(元BVS隊長)

ボーイスカウト東京文京第5団

カテゴリ: 文京第5団夜話集
掲載日:2008/11/05
 今、地球の人口は、約66億人です。
 アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オセアニア世界5大陸に分布し生活しています。
飽食の時代と言われますが、この多くの人間が生きるためには食料が必要です。

 でも、世界に目を向けると、人口66億人の3分の1の人は、食事を1週間に1度くらいしか食べられません。
その他の、3分の1の人は、食事を1日に1回くらいしか食べられません。
残る3分の1の人は、毎日3回、朝、昼、晩と満足に食事ができる人達です。
なぜ全員が、1日3回の食事ができないのでしょうか?
それは、戦争や環境破壊などで、国が滅び食料が不足しているからです。

 皆さんは、どのグループに属していますか?
毎日、朝、昼、晩と3回の食事ができる幸せなグループですよね!
でも、食事の時、好き嫌いを言っていませんか? ご飯やおかずを残して、食料を粗末にしていませんか?
食事が出来ることが、当たり前の事だと思っていませんか?

 肉や魚、お米や野菜を作ったり、提供してくれた人達に感謝して食事をしていますか?
今、地球上には、満足に食事も食べられない人達が大勢いることを考えれば、自分達が置かれた立場が、いかに幸せかを理解し、感謝する気持ちがとても大切です。
「忘れがちな感謝の気持ち」を、今一度考えてみてください。

福井清天(元BVS隊長)

ボーイスカウト東京文京第5団

カテゴリ: 文京第5団夜話集
掲載日:2008/11/05
 「これは、私が小さい時に、村の茂平さんというおじいさんから聞いたお話です」 兵十が川で魚を取っているのを、いたずら好きな狐のごんが見つけた。兵十がびくから目を離した隙に、ごんは兵十が捕った魚やウナギを逃がしてしまう。それから10日ほど後に兵十の母親の葬式をみたごんは、あの時逃がしたウナギは、兵十が病気の母親に食べさせるための物だと知り反省する。

 自分と同じ一人ぼっちになった兵十に同情したごんは、ウナギを逃がした償いの意味もあって、鰯を盗んで兵十の家においてくる。だが鰯屋は、兵十が盗んだと勘違いし、兵十が殴りつけられたため、ごんは再び反省する。それからごんは、毎日栗や、時には松茸を届けるようになる。兵十は毎日届けられる栗を不思議に思い加助に相談すると「それは神様のおかげだ」といわれる。

 その翌日ごんが家に忍び込んだ気配を感じた兵十は、またいたずらに来たのだと勘違いし、母親にウナギを食べさせられなかった無念もあり、ごんを火縄銃で撃ってしまう。倒れたごんの横に散らばる栗に気ずき、兵十が「お前だったのか」と問いかけ、ごんがうなずく。兵十が思わず取り落とした火縄銃から青い煙がのぼっていた。
 優しい気持ちはときとして、報われないこともあるし、気付いてもらえない時もあるかもしれないれども、それでも、その尊い心を大切にして欲しいと思います。

福井清天(元BVS隊長)

ボーイスカウト東京文京第5団

カテゴリ: 文京第5団夜話集
掲載日:2008/11/05
 大昔の人が書いた、海の果ての絵を見たことが、ありますか? 今でこそ、地球が丸いと誰もが知っていますが、大昔の人は、海の果ては断崖絶壁だと思っていたようです。

 リーダーが見た、その地図では、海の果ては、大きな滝になっていて、通過する船は次々と滝に落ちて、しかも滝の下には、怪物のような竜が口を開けて、待ち構えていました。

 現実には、海の果てが滝になっているわけではなく、まして竜もいないのですが、そういう世界を描いたのは、人間の想像力・空想力です。そして、怪物のような竜が現れるのは、知らない世界に対する、人間の恐怖心からでしょうか。

 アメリカ大陸を発見したのは、みんなも知っているコロンブスです。彼は、インドを目指していましたが、地球は実は丸いんだと教えてもらい、西回りでもたどり着けると信じて出発したのです。

 コロンブスは、最後まで新大陸をインドと信じていたようですが、残念ながら、たどり着いたのは、今のアメリカ大陸でした。その時代、たくさんの冒険家たちが、新しい世界を求めて、大航海に出ました。コロンブスも含め、大航海に出た人たちは、海の果てに滝があり、怪物もいると信じていたら、決して航海には出なかったでしょう。

 迷信に惑わされず、冒険心を持って、誰も知らない世界に踏み出す人こそ、パイオニアと呼ばれる人たちです。コロンブスたちは、まさにパイオニアでした。しかし、パイオニアになれるのは、特別な人だけでしょうか。

 恐怖を乗り越えるには、勇気がいります。勇気を持つって、むずかしいですか? 恐怖に感じていることって、よくよく考えれば、滝の下にいる竜のようなものかもしれません。自分で勝手に空想した竜に、心が縛られて、勇気が使えなくなっていませんか?

 心の中にいる竜を打ち消して、一歩踏み出せば、君も立派なパイオニアです。勇気を持つこと、勇敢であることは、実は簡単なのです。なぜなら、人の力を借りることなく、自分で解決できるのだから。

 パイオニアになろうとしている君にとって、今、心の中にいる竜は、どんな竜ですか? 今日から、竜退治に出かけませんか?

団委員長 高田淳彦(元BVS隊長)

ボーイスカウト東京文京第5団