大昔の人が書いた、海の果ての絵を見たことが、ありますか? 今でこそ、地球が丸いと誰もが知っていますが、大昔の人は、海の果ては断崖絶壁だと思っていたようです。

 リーダーが見た、その地図では、海の果ては、大きな滝になっていて、通過する船は次々と滝に落ちて、しかも滝の下には、怪物のような竜が口を開けて、待ち構えていました。

 現実には、海の果てが滝になっているわけではなく、まして竜もいないのですが、そういう世界を描いたのは、人間の想像力・空想力です。そして、怪物のような竜が現れるのは、知らない世界に対する、人間の恐怖心からでしょうか。

 アメリカ大陸を発見したのは、みんなも知っているコロンブスです。彼は、インドを目指していましたが、地球は実は丸いんだと教えてもらい、西回りでもたどり着けると信じて出発したのです。

 コロンブスは、最後まで新大陸をインドと信じていたようですが、残念ながら、たどり着いたのは、今のアメリカ大陸でした。その時代、たくさんの冒険家たちが、新しい世界を求めて、大航海に出ました。コロンブスも含め、大航海に出た人たちは、海の果てに滝があり、怪物もいると信じていたら、決して航海には出なかったでしょう。

 迷信に惑わされず、冒険心を持って、誰も知らない世界に踏み出す人こそ、パイオニアと呼ばれる人たちです。コロンブスたちは、まさにパイオニアでした。しかし、パイオニアになれるのは、特別な人だけでしょうか。

 恐怖を乗り越えるには、勇気がいります。勇気を持つって、むずかしいですか? 恐怖に感じていることって、よくよく考えれば、滝の下にいる竜のようなものかもしれません。自分で勝手に空想した竜に、心が縛られて、勇気が使えなくなっていませんか?

 心の中にいる竜を打ち消して、一歩踏み出せば、君も立派なパイオニアです。勇気を持つこと、勇敢であることは、実は簡単なのです。なぜなら、人の力を借りることなく、自分で解決できるのだから。

 パイオニアになろうとしている君にとって、今、心の中にいる竜は、どんな竜ですか? 今日から、竜退治に出かけませんか?

団委員長 高田淳彦(元BVS隊長)

ボーイスカウト東京文京第5団