自分がボーイスカウト隊のしたっぱだった時、水も無いトイレも無いところで1週間の夏キャンプが行われました。2,3日たって班での生活にも慣れてきて班長の姿を良く見れる様になって来ました。食当集合の笛がなると班長は初日に作った立ちかまどの前に座り火を起こし始めます。「いいなー自分も火の前に立ちたいなー」と思いチャンスをうかがっていたのですがなかなか火の前に立つ事は出来ませんでした。(立たせてもらえなかったです)

『そうだ!チャンスは朝しかない!!』と思い起床6時のところ4時半頃起きてテントの外に出て昨晩のうちにといでおいたお米の入った飯ごうをもち、立ちかまどの前に立ち火をおこし始めました。朝靄の中、鳥の声を聞きながら最高の気分で火の前に立つ事が出来ました。あっという間に時間が過ぎ起床の時間が来て班長に「ご飯炊けましたー」と声かかけて起こすと「マジでー有難う」と言い喜んでくれました自分は心の中で「良し、ヤッター」と叫びました。5日目、6日目、最終日とそんな感じで火の前に立つことが出来たのです。でも最終日の朝は失敗でした。最終日という事で隊スタッフの起きる時間が早く、立ちかまどの前に立ち火をおこし、ご飯を炊いていると当時の隊長が来て「おはよう、一人でやっているの?」と聞くとテントに行き「おい!班長なんで下のスカウトが一人でご飯炊いてるんだ!やれって言ったのか?」と班長が怒られてしまったのです。自らやった行動で班長が怒られてしまい本当に申し訳ないなと思い「すみませんでした」と班長に謝ると「いいよいいよ有難うな」と優しく返事をしてくれました。

 自分でチャンスを探し、そのチャンスを物に出来て、でも失敗もして、良い経験の出来た夏キャンプでした。あの時の経験が無かったら自分より下のスカウトが失敗をした時怒る事しか出来なかったのではないかと思います。もちろんリーダーになってからも同じです。

外山 良(前VS隊長)

ボーイスカウト東京文京第5団